G

レスラーのGのレビュー・感想・評価

レスラー(2008年製作の映画)
4.8
ミッキー・ロークといえば80年代のイケメンなんだけど、最近はなんだか落ちぶれてしまった男だ。『アイアンマン2』や『エクスペンダブルズ』でちょっとした復活を果たしたと言えるかもしれない。そんな彼が自身を投影したこの『レスラー』をようやく見ました。

たぶん主人公はとても弱いヤツで、娘の言う通り「圧倒的なクズ」だった。だからこそレスリングがどうしても必要で、あのリングが唯一の居場所だったのだ。ボロ雑巾のような体に鞭打ち、それでしか己を鼓舞できない。だが、彼のステージは観客を熱狂させ、誰かを救うのかもしれない。リングの上でしか自我を保てない彼は確かに弱いのかもしれないが、生きる意味をどうしてもそこに見出してしまう。

友達に突き放され、娘には見捨てられ、全てを失ってやっと気づく自分の居場所。レスリングによってしか救済されない魂に心が震えてしまう。再びリングへと戻ってしまうラストの試合開始前のシーン、ガンズが流れたときに少しウルっときてしまった。いい映画を観たと思う。
G

G