にじのすけ

テキサス・チェーンソーのにじのすけのレビュー・感想・評価

テキサス・チェーンソー(2003年製作の映画)
3.6
伝説のホラー「悪魔のいけにえ」のリメイク。
ですが、本作は原作を換骨奪胎した作品であり、オリジナルと比較すること自体、あまり意味がないと思います。
その観点からすると、本作はオリジナルを尊重しつつも現代的な文脈に翻訳した良作だと思います。
その意味は、カタルシスとしての暴力を描いているのではなく、血のつながりや閉鎖的社会に置ける因習的な業を描こうとする意欲が感じられるからです。
オリジナルの優れた点が、ひたすら被害者の観点から描かれており、加害者がなぜ理不尽な暴力行為をするのかについての説明が一切省かれている点にあるとすれば、本作はより加害者の心情にフォーカスを当てた作品だと言えます。そういう意味では、理不尽性や狂気といった恐怖感は薄れてしまうのですが、一方で暴力を振るう側に対する一種のシンパシーのような観点から描いている点が、現代性につながるのではないかと思います。それは本作に続いて発表された「テキサスチェーンソービギニング」でより明らかにされます。
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