芸術家の作品制作の様子や思いは紙面上で見ることがほとんどで、こうして映像で写し出されると美術館に展示されてる作品の奥行性が増す。浮世離れした近寄りがたい存在というレッテルを貼られたアーティスト像を打ち破るような奈良美智の思慮深い言葉遣いと妥協なき作品づくりに憧れとシンパシーを同時に感じた。アシスタントを雇わず一人で描き続ける彼は一見閉鎖的に見えるが、彼の反骨心と脆さを女の子に宿すスタイルをぶれさせないようにするための必要な行為と捉えられる。26の小屋は子どもから外国人まで夢中に楽しめるまさしくa to zな作品群であり、彼のシグネチャーでもある。
世界で活躍する芸術家を仰々しく囃し立てずあくまで自然体で写し、彼の作品哲学を打ち明ける構成はドキュメンタリーとしても優れてる。