にじのすけ

ゾンビ/ディレクターズカット完全版のにじのすけのレビュー・感想・評価

5.0
劇場公開当時、昼のワイドショーでスティーブンの乗ったエレベーターの扉が開いてゾンビが襲ってくるフッテージを観て、トラウマになりました。私にとってはドラキュラ(ヴァンパイア)と並んで、幼少期の恐怖の原体験をなすモンスターです。ゾンビ映画がこれだけ量産され、今世紀に入ってからもいくつかの良作を生んでいる理由は、その性格からは人間的な要素が一切剥奪されているにもかかわらず、その姿は「(生前は友人、家族、恋人だったかもしれない)死者つまり人間である」という、神は死に、経済成長も幻想化してしまった救いようのない「今」という時代の絶望感・逃げ場のない閉塞感を体現した存在であるからかもしれません。本作の突出したオリジナリティやストーリーの素晴らしさについては語りつくされた感があるので書きませんが、これからも現在進行形の傑作であり続ける作品だと思います。
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