Ullr

平成狸合戦ぽんぽこのUllrのレビュー・感想・評価

平成狸合戦ぽんぽこ(1994年製作の映画)
3.8
大人用ジブリ。

子供んときに見たことあったはずだけど全然わかってなかった。この落語特有の抑揚のない語りは耳慣れしてないとイメージに起こすのが難解。この歳になって初めて理解できた気がする。分かれば小ネタが多くて面白い。

ジブリらしい、ジブリだからこそ出来る環境問題への警鐘。多摩ニュータウンが出来る前の豊かな山に住うタヌキたちの人間への復讐劇。なすすべなく逃げ、惑い、それでも人間の作る天麩羅に目がない、実直でお気楽で、愛すべき哀れな狸たち。

人間に化けるために苛酷な試練を強いられる狸たちを可愛いと言ってばかりはいられない。なんとか開発を止めようとした狸たちは重機や建物バカスカ壊すし何人もの犠牲者もでて、夕方のニュースで見たら眉間に皺が寄るような被害なのに、狸目線で見ると寧ろ喜ばしい。私もまた、人が死ぬのは胸が傷むのにタヌキの死は気に留めもしない身勝手な人間の一人だと突きつけられる。
人間として生きていくことを決め、満員電車に揺られる狸のひとり。そこにタヌキばかりでなく人間にも憐憫の表情が向けられている。
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