ねむみ

クレイマー、クレイマーのねむみのレビュー・感想・評価

クレイマー、クレイマー(1979年製作の映画)
2.5
名作だから履修しておこうと10年前に観たが、製作から何十年も経っていたからか、何がそんなに良いのかよくわからなかった。
男性が子育てをする、ということが珍しかった時代なのだろうけど、まともに朝ごはんが作れなかったり、子供とどう接すればいいのかわからなかったりするシーンがまるで悲喜劇のように描写されていて、「いや、だから妻は出てったんじゃん…」としか思わなかった。

最近ある記事で、1979年当時のレビューで映画評論家のロジャー・イーバートが「『クレイマー、クレイマー』が、もし夫婦どちらかの視点に偏ったものだったなら、これほどの名作にはならなかっただろうし、ストーリーの奥深さや興味深さも半減していただろう」と評価した、というのを読んで、怒りで震えた。
子育てにおける男性のレプレゼンテーションが当時は不足していた、というよりは、男性の言い分を通してでないと子育てというテーマは取るに足らないものと、男性によって見なされていただけ。
実際この映画は(イーバート氏の考察に反して)夫の目線に偏っているし、妻がなぜ出ていったのか、出ていって一体何をしていたのか、ほとんど語られない。妻役のメリル・ストリープは(メリル・ストリープなのに!)深みも感情も発言も少なく、お飾りのお人形さんのような扱い。

この映画が(特に日本では)完全には過去になっていないことが問題。
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