れん

クレイマー、クレイマーのれんのレビュー・感想・評価

クレイマー、クレイマー(1979年製作の映画)
4.6
自分にとってとても大切な胸の裡が温かくなる映画。

仕事人間だったダスティン・ホフマンが少しずつ父親へと成長していく様は涙無しでは観られない。子役の子も本当に可愛くて演技もとても上手だった。聞けばダスティン・ホフマンが現場でかなり子役の子にテコ入れしたそうだ。

息のあった2人がフレンチトーストを作り終えた後、視線を重ねたまま頷き合うところは本当に胸が締め付けられた。

その一方で残念に感じたのは、メリル・ストリープの描き方。子どもを置いて家を出ていくほどに追い詰められた彼女の経緯が、独白のみでしか描かれないため、それでいて子どもを取り戻そうとする様がとても身勝手でイヤな人に見えてしまう。最後の最後に思い止まってくれたからまだ良かったものの、それでも劇中のメリル・ストリープがなぜダスティン・ホフマンをそこまで目の敵にするのかが、いまいちわからない。ダスティン・ホフマンがとてもそんなにイヤな人には思えない。

もしかしたら製作陣は、父と子の関係性にストーリーを絞りたかったのかもしれないから、これを望むのは野暮なことかもしれないけれど、メリル・ストリープ側の葛藤がちゃんと描かれていたら、自分の中では満点だった。

ただそこを差し引いても本当にかなりの秀作には違いないと思う。
れん

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