同い年

病院坂の首縊りの家の同い年のネタバレレビュー・内容・結末

病院坂の首縊りの家(1979年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

家系図が複雑すぎて泡吹いたけど、シリーズで1番か2番目に好き!
面白くなさだと女王蜂だけど、獄門島がワーストかな。「家父長制が女を殺す」事件なんて日常の再演でしかない。胸糞トキシック・マスキュリニティ。

金田一シリーズは、犯人が男性よりも、女性の回の方が面白い。犯行の動機に強い情念があって、納得しやすいから。まぁ、裏を返せば、「女は執念深い」的なバイアスがかかったプロットとも言えるんだけど...(だから、理解が及ばない気まぐれ女殺人鬼が出てくる映画があったら、それはそれですごく観たい)。

家父長制、一夫多妻制的世界観の犠牲になってきた女性が、殺人によって少しでも救われるっていうカタルシスがあるのがいい。
悪魔の手毬唄は、その刃を向ける方向を間違って、「女の敵は女」的な殺人が起きてしまったけど、今回は真っ当な方向に向いてたんじゃないかな。事故とは言え、諸悪の根源・猛蔵は殺せたし、徳兵衛も自分の手で殺せた。シリーズ別作品くらい惨い殺し方しても良かったよ。義理の娘を少女時代に強姦して、徳兵衛に最中の証拠写真を撮らせた猛蔵と、その証拠写真で数十年ゆすり続けた徳兵衛。木から逆さ吊りにされても、ワインの樽に漬けられても足りないくらいにカス。

普段、加害者被害者に寄り添えてるとは決して言えない金田一が、最後に証拠写真の乾板を岩に叩きつけて割ったのすごい嬉しかった。この世から抹消してくれてありがとう。思い返せば、シリーズを通して金田一の性愛っぽい欲望が描かれたことってなかったかも。信頼がおける。

奇天烈な死体は、敏男の首ぐらいしか出てこないのに、アイコニックなモチーフが多くて楽しい。屋根裏部屋で寝てる千鶴はAKIRAのキヨコみたいな気味悪さだし、人力車の中で舌噛んで死ぬ弥生は絵画。廃墟で撮った結婚写真も目に焼きついてる。

等々力警部の粉薬吹きと、金田一のフケ散らしのコンボがあって、さすが最終作!ってなった。全然きちゃないと思ってるので、待望してはいなかったのですが...。

昔の日本映画観て、7割くらいしか聞き取れない体験ができて良かった。話も複雑で1回じゃ理解できないし。絶対に消費させてやらねぇぞっていう気概を感じた。最初は聞き取ろうと躍起になったけど、諦めてからはいい加減に映画を観るって行為が楽しくなった。
ゲ謎で因習村が観たくなって、金田一シリーズを観始めて、観終わった今、ゲゲ郎の「片目で見るくらいがちょうどいい」を実感してる。
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