YP子

バニシング・ポイントのYP子のネタバレレビュー・内容・結末

バニシング・ポイント(1971年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

わぉわぉわぉわぉ!
なんてドツボな映画!すごい好き!


1971年製作のアメリカ映画。
ロードムービー&カーアクション映画!

アメリカン・ニューシネマ!
イージーライダーの車版って感じ。


タイトルそのまんまの内容!!
バニシングポイント=消失点


コロラド州からカリフォルニア州(サンフランシスコ)まで新車の陸送をする話。
そう。一言でストーリーを言えばそういう話。

だけどその陸送する新車「白の1970年型ダッジ・チャレンジャー」はターボ仕様になっていて走る走る。超スピード出して走る。どこだって走る。砂漠でも石ごろごろの荒野でも。
え?それ届ける車だよね?むちゃし過ぎてぼこぼこだよ!!って思いながらも、そんなことはどうだってよくなるくらい爽快に走り続ける。
この時点でもうカッコイイ。


ずっと走ってる男。
バリー・ニューマン演じる、コワルスキー。
(ポール・ニューマンじゃないよ♪)

コロラドからサンフランまでは2,000km。
3日かけて届ければいい車を、15時間で行くって賭けをしたコワルスキー。
それで急いでいたのか?でもその前から急いでたような...
まぁとにかく急ぎすぎたからハイウェイパトロールに目を付けられまくる。
ハイウェイパトロールの忠告を完全無視するコワルスキーにムキになりまくるポリスマン達。
そっからカーチェイス勃発。


その道中やたら絡まれるコワルスキー。

バイクのハイウェイパトロール。
砂漠の蛇獲りじーちゃん。
走り屋フリークのおっさん。
ハイウェイのゲイ。
ある意味スーパー・ソウルもだよね。

そんな中、チョッパーに乗ったエンジェルは唯一知り合いだったね!
砂漠のじーちゃんもいい人だったけど、エンジェルもすっごくいい人だった!謎のヌード・ライダーと一緒にいる。ああいう真っ直ぐないいやつって好き。
ホンダのバイクに乗ったヌード・ライダーも最高にかわいかった。絵になりまくる!!女の私がみても惚れぼれ。

ほんと、イージーライダーっぽい。

途中でキャプテン・アメリカとビリーのコンビとすれ違わないかな?とか思って観てた(笑)


走りまくってる映像が永遠と続くも、全然飽きない。乾いた風景にやさしい太陽光の映像もきれいだし、だんだん汚れていくダッジ・チャレンジャーもカッコイイし、スーパー・ソウルが選曲したラジオから流れる音楽も最高だし、この時代の文化やヒッピーが観れるし、なによりコワルスキーがものすごくかっこいい。

それまでは優しいただのスピードフリークのコワルスキーだけど、フラッシュバックした映像で少しずつ判明していく。

元ベトナム戦争の兵士だったけど負傷して名誉の退役。
その後警官になるも、上司の不正を告訴して敗訴になり解雇。
そしてプロのレーサーになるも、アルコール検査拒否で運転免許停止になりやめる。
恋人は海で死んでしまった。

コワルスキーの過去...ちょっと!!!もうせつなすぎる。

カーチェイス中にバイクで倒れた警官を心配して立ち止まったり、走り屋フリークのおっさんが川に落っこちても無事かどうかは確認したり、コワルスキーが本当はすごく優しい人っていうのは随所から感じ取れる。(あ...ゲイカップルは...笑)

警官時代の事件とか。正義をちゃんと持っている人なんだよね。この話は、セルピコみたい。アルパチーノの。アルコール検査拒否も、きっとなにか不条理な何かがあったんだろうね。

この不条理な時代のアメリカが持つ闇の中にコワルスキーもいたんだね。
検挙に異様なまでの執着を見せる警官...あの姿はこの時代の社会の闇の象徴だったんだね。

コワルスキーだけじゃなくって、権力やしばりつけルールの中で苦しむ人はこの時代たくさんいてみんなそれを打破したくてルールをぶち壊して突っ走ってるコワルスキーを応援したくなったんだろうね。


イージーライダーを観た時の気持ちと同じ気持ちになった。


ラストの「消失点」はものすごく衝撃だったけど、すごいかっこいいと思った。
自分の意思を貫いてやりぬいて迎えた消失点。
やるだけやって前だけ見て燃え尽きたんだ!
なんてかっこいいの。
あのブルドーザーに突っ込む前に少し笑った時のかっこよさ。
反権力主義。権力に屈することなく、振り向かず、勢い保ったまま終わらせる。
悲しいラストではないよね。
コワルスキーは幸せに最後を迎えれたんだと思う!

悲しいのは、こうするしか自分の幸せを守ることができないこの時代背景だと思う。


この衝撃のラストは、「イージーライダー」や「明日に向かって撃て」と同じ種の感情がこみあげてくるけど、一番近く感じたのは「テルマ&ルイーズ」かな!

はぁ。素晴らしくかっこいい映画だった。


余談:
この映画を知るきっかけは、大好きな日本のバンドBLANKEY JET CITYの解散ドキュメンタリー映画のタイトルが「バニシングポイント」だったから!
ブランキーはみんなアメリカンニューシネマ好きだから、絶対この映画から影響を受けていると思う!
(マネージャーとか周りの人かもしれないけど)
ブランキーの10年の活動の終止符を物語る映画のタイトルにはもってこいだと、私も思う。
彼ら3人も燃え尽きたんだ。前向きに。

やりぬかなければ、バニシングポイントには到達できないんだよね。

実は私はまだブランキーのこのDVDを観ることができていない。ずっと手元に持ってるのに。もう16年もたってるのに未だに終わりを観たくなくて。
(映画制作は2013年だけど)
だけど、彼らの燃え尽きた最後をみる決心をコワルスキーみてついた!
だって、前向きな消失点だもんね。
そう思えばみれるや。
(DVDのトレイラー映像で泣くくらいだから、涙は必須になりそうだけど...)

ありがとう。コワルスキー!



はぁ。かっこいい映画だった。これは憧れちゃうな。
YP子

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