おなべ

犬神家の一族のおなべのレビュー・感想・評価

犬神家の一族(1976年製作の映画)
4.5
金田一シリーズでも最も有名な「犬神家の一族」のオリジナル版をやっと鑑賞。金田一さん、事件ですよ!
佐清の白ゴムマスク、"斧菊琴"を見立てたインパクト大の殺人、湖に逆さにささった死体等、怒涛の衝撃展開でグイグイ見入ってしまう。ミステリー作品の謎解きパートって眠くなることもあるんですけど、見せ方や演出が非常に巧くて目が離せません。

犬神一族の遺産相続から壮絶な殺人事件が起きてしまい、登場人物が全員疑心暗鬼で不穏な空気。どいつもこいつも怪しい!キャラが立っていて皆強烈です。
しかし暗いギスギスな雰囲気に一貫するのではなく、所々の台詞や間の抜けた掛け合いにクスッと笑えるのが市川監督ならではの作風だなあと感じます。

個人的に菊人形の下りが恐ろしくて身の毛がよだちます。こんな酷い殺人を行う奴は全く…どんな畜生なんだ!と思いきや、犯人の一途な思いには涙を誘う。偶然が折り重なって成す術なく起きてしまった悲劇。何でしょう、推理小説に捉われない、市川崑×石坂浩二シリーズのこういう哀愁漂う雰囲気が本当に大好きなんです…。


リメイク版と比較してみると二度美味しいです。こちらのオリジナル版はやはり古めかしさや雰囲気に味があります。リメイク版はクリアな映像でわかりやすく、シリーズに取っ付きやすいのではないでしょうか。どちらもオススメです。
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