ふぇいるくん

ドラキュリアンのふぇいるくんのレビュー・感想・評価

ドラキュリアン(1987年製作の映画)
3.0
監督さんはもちろん「あの」F・デッカー。
掛け値なしのB級傑作「クリープス」の監督であり、そしてある意味伝説級の傑作(笑)、「ロボコップ3」を世に放った、良くも悪くもオタク系監督さん。

同じオタク系でいえばP・ジャクソンやギレルモ・デル・トロなどを頂点とすると、まさにデッカー監督は比較的「底」の人。
その差は、作風とかバジェットとか作家性で水をあけられている、というよりは「オタク的ディテールの甘さ」に尽きますね。

今作「ドラキュリアン」も、古のユニバーサルホラーに登場するモンスターたちに目配せをしつつのジュブナイル冒険譚・・・と言えば最近なら「IT」みたいな映画を想像しますが、さすがそこはデッカー監督。
あくまで「目配せ」どまりで、愛着を基にした鮮烈なオマージュなど皆無。

もちろん、「オマージュ」っぽいのはありますが、やはり甘い。
そこがデッカーの作家性(笑)。
例えばフランケンシュタインと少女の描き方とか、オリジナルをなぞりつつ80年代風にアレンジしてはいますが・・・ダサい(笑)。
中学生のような稚拙さで微笑ましいのですが、エロスもタナトスも無く特に何の印象も残らない。
でもこれがデッカー。空飛ぶロボコップをクリエイトするだけの事はあります。

「ドラキュラ」に至ってはもっと凄い、勿論違う意味で。
とにかくダイナマイト片手に色んなものを爆破しまくります。
一応伯爵でしょ??
「マッドボンバー」のC・コナーズじゃないんだから。
ユニバーサルホラーのドラキュラのような、幽玄や優雅さのかけらもなし。

これは別に80年代映画特有のゆるさではなく、デッカー品質。
これがデッカー監督映画だし、特に新鮮味も面白味も無いけど、なぜかうたた寝しながら最後まで見てしまう・・・。
映画を愛するが、映画には愛されない、それがF・デッカー。
でも私はそんなデッカー作品が、ちょっと好きです。
面白くはないけど。