COZY922

かいじゅうたちのいるところのCOZY922のレビュー・感想・評価

3.7
世界中で読まれ愛されているモーリス・センダックの絵本の映画化作品。

マックスの年頃の子供って、もう一人前に承認欲求がしっかり在るんですよね。誰かに認められたいという欲求。でもそんな気持ちの強さの割にそれを伝えるのは下手クソだし、それをコントロールしたり認められるために自分はどうすべきか考えて行動するなんてことは年齢的に難しい。思いどおりにいかない苛立ちや孤独感をそのまま反抗や怒りという形でぶつけるしかなくなってしまう。

そんな子供の心の中を描いた世界、かいじゅうたちのいるところ。自己コントロールが効かず乱暴で孤立しがちなキャロルはマックスそのもの。人の気を引くための一生懸命な行動が逆に誰かを傷つけていることには気がつかない。口うるさいかいじゅうはお母さんやお姉ちゃん、優しくしてくれる時のKWは理想の母親像。

原作絵本が好きなので、あの世界観と かいじゅうの姿形の実写化には疑問だったけど、ゴツい体にちょっと寂しげな目、モフモフした質感は絵本の世界観を壊すことなくコワモテなのに温かくて期待以上でした。みんなで固まって寝るところは願望のメタファーなんだろうけどすごく好きなシーンです。

そして何よりもいいなと思うのは1匹1匹のキャラ設定。マックスの心情が個々のかいじゅうのキャラに実にうまく投影されていました。

子供向け絵本が原作ですが、自分と周囲の関わりを見つめるという意味では大人の私たちこそ見る作品なのかもしれません。
COZY922

COZY922