映画おじいさん

極道ペテン師の映画おじいさんのレビュー・感想・評価

極道ペテン師(1969年製作の映画)
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日活が会社として最悪な時期に製作された突貫丸出し映画。エロ多用で本格ポルノ路線の前触れも。でもチャーミングな部分もところどころにあった。

詐欺師・フランキー堺が自分の子を名乗る子供の登場によって自分を見つめ直すような物語なんだけど、本筋に入るまでに何の伏線にもなっていないパートをぶっ込んでいて意味が分からない。
ナイチンゲール教、ゾッペを連呼する鳥…長いエピソードのなのに後にまったく関係ない。おまけにどうしようもなくくだらない。
多分、子供との話だけでは尺が短過ぎたのであとから付け足したパートだと思う。じゃないと説明出来ない。で、そう考えるとちょっと好きになった。

不発弾は夜に爆発するのに、それに気づいて驚くフランキー堺のアップの背景は昼。ひどいですね。
吹っ飛んだ靴のアップ、あっさりした描写は素晴らしかった。ここと、子供を採石場みたいなところに捨てるところと、市役所汚水噴射が最も好きなパート。いつもは汚水ネタとか苦手なんですが、これは豪快で好き。

野坂昭如原作らしく戦争体験を思い出したりしておかしくなったフランキー堺がセスナで飛ぶんだけど、最後のシメがその子供の声で「がんばりや〜」のオーバーラップ。超脱力。