るぅね

野ゆき山ゆき海べゆきのるぅねのネタバレレビュー・内容・結末

野ゆき山ゆき海べゆき(1986年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

記録

授業で鑑賞しました。
鷲尾いさ子が美しい。彼女の為の映画。

以下、授業内での考察。

この映画は、子供から大人への成長、またそれに従って強まる戦争への志を示していると思います。お昌ちゃんと早見勇太の会話「男だから」「じゃあ女は?」から分かる通り、戦時における男女の役割も、大人になることで明確になりました。須藤目線のこの映画では、戦争の気配はするものの、そこにあるのは完全に子供たちの世界です。彼の目に映った最後のお昌ちゃんの姿、突然の白黒映像は、須藤の「大人」への成長の瞬間でした。そして、忍び寄る戦争の気配と、少年志願兵のお達し。それでも、やわらかで牧歌的な夢の中にいる子供達は、大人達をわんぱくな方法で排します。直接言葉にしないものの、この子供らしさ純粋さこそが反戦であり、映画内のわんぱく戦争や悪戯、駆け落ちに現れているのだと思います。結果、この映画そのものは子供達の夢に包まれ、最後の原爆投下のみが真実で、そのため映像はカラーで終わりました。投下した米軍ではなく、戦争を長引かせ、何も知らない子供達を犠牲にしようとした大人たちへの静かな怒りがこの映画の主題であり、子供たちへの鎮魂の作品になっているのだと思います。
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