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千曲川絶唱のktyのレビュー・感想・評価

千曲川絶唱(1967年製作の映画)
4.5
北大路欣也が荒ぶるトラック運転手を熱演。正統派美人の星由里子の清楚な看護婦と、クールな運転手の友人を田中邦衛、冷静な医師を演じる平幹二朗、さらにいしだあゆみも共演。新潟ロケの昭和42年102分。

日本映画専門チャンネルでは冒頭で北大路欣也さんが貴重な撮影エピソードを述べられた。

例えば、
モノクロフィルムは特別にデュポン社のフィルムを使用。

CGがないので、朝のシーンは朝、夜のシーンは夜撮らなければならず過酷な撮影スケジュールだった。

星由里子と田中邦衛は若大将シリーズの忙しい撮影の合間を縫って出演。

北大路欣也が星由里子を連続ビンタするシーンで岡崎宏三から、この向きならビンタは当たらないという角度を教えてもらってビンタが当たらないよう心がけたが、結果、星由里子の頬が腫れ上がった。でも星由里子は平然と演じた。

有名な列車とトラックの併走シーンは、トラック側のカメラからの撮影で一日、列車側からのカメラから一日、計2日かかった。

高所でドリルを操作するシーンを高所恐怖症の北大路欣也は躊躇った。すると豊田監督自らドリルを操作して見せた。



白と黒のくっきり感と灰色の階調が美しい。これがデュポン社のフィルムの質感か?その質感に負けない岡崎宏三の迫真のカメラワーク。

小説を読んでるかのような松山善三の、たぶん今は不適切な台詞の数々もストレートに響く脚本。

美女と野獣のような二人の関係が次第に変わっていく素晴らしい演出さらに新潟の優美な自然も相まって、豊田四郎監督の美意識に浸る。

日本映画専門チャンネル
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