寿司大好き

蘇える金狼の寿司大好きのネタバレレビュー・内容・結末

蘇える金狼(1979年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

50-60代の人々が松田優作を祀り上げていたのでどんなものかと見てみた。
私は角川映画のもつ独特の灰色の世界観がすごく好きだ。
タイトルに期待しすぎた。
ラストシーンのセリフが本当にアドリブだとするなら、彼は朝倉という人間が望んでいた終着点は神の元であると考えていたのではないかと思う。意味なんて全くなかったのかもしれないけど。
やはり私は人のみっともない姿や情けない顔を見ると自分と同じ生き物だという安心感を得られるのでそういうシーンを見るのが好きだ。(ここでは朝倉の欲望丸出しで事に取り組む姿を除いて言及する。)
途中までは物凄くつまらなかったけど、朝倉の隠れた部分が垣間見えるにつれて面白味が増してきた。後半30分の盛り上がりを除けば、後は松田優作の脚の長さとアクションと、それに風吹ジュンの裸体を堪能するためのような映画だった。それと最初の銃撃戦のシーンについてだが、よくもまああそこまでお粗末な血糊を作れたものだと思う。

京子とのシーンについて、あれだけ野心に基づいて行動してきた、エゴとナルシシズムにまみれた男のプライドがたった1人の良いように扱ってきた女の裏切りでことごとく砕けちる様は正直見ていて痛快だった。結局全ては回り回って自分のところに帰ってくるのだなーと思った。彼は本気で京子を愛していたのかもしれないけれど、一方で粗雑に扱っていたのも紛れもない事実で、それがたった1回腹を刺された位であんな顔をされても、という気持ち。でも同時に「お前もそんな顔をするのか。」と思って引き込まれた。今までツケてきた蛮行の報いがたった2枚の紙とはらわたで済んだのだから、いいほうだと思う。それに結婚式ができた上に、葬式もしたのだし。

松田優作のアクションシーンは素晴らしかった。革のツナギが松田優作以上に似合う俳優がいるなら知りたい。まるで漫画のようなスタイルだった。

面白くないし大して好きでもない。けれどもいつかもう一度見るだろうと思う。

「ベートーヴェン!続けるんだよ。」
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