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第9地区のaのレビュー・感想・評価

第9地区(2009年製作の映画)
4.3
数年前、一度見たときの印象はエイリアンがとにかく気持ち悪くて、何が面白いのかは当時はまだ分からず。
記憶を掘り下げ見た今回はかなり楽しめた。
ドキュメンタリータッチで描かれており、差別や偏見などの社会風刺的なことも織り交ぜ、110分の割にはかなり綺麗にまとめた印象。宇宙人が人間を支配、征服するのではなく、人間が宇宙人を隔離し、反乱が起こる。この稀な世界観が一層緊張感を生み出した。主演のヴィカスの心情変化、外見的変化をリアルですぐにはエイリアンに変身しないことも何だか好感を得た。彼の人間とエイリアンの中間的立ち位置が故の心の葛藤が辛く、CGに頼っているSFではなくアクション共に内容を充分に楽しめる。ヴィカス演じるシャールトコプリーの台詞がすべてアドリブには驚き。それに重なる演技と共に感情移入させられる。
なんといってもこの映画の醍醐味はラストシーンでないか。見栄えが変わっても想いが変わらない彼の姿に心打たれた。独特の余韻を残す作品。そして、その後の世界もあまり変わっていないことも感慨深い。
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