アンタレス

第9地区のアンタレスのレビュー・感想・評価

第9地区(2009年製作の映画)
3.6
ヨハネスブルグ上空には、巨大な宇宙船が立ち往生している。その真下は人間の管理下で『第9地区』として隔離され、"エビ"達のスラムと化していた。
増えすぎたエイリアン達への対策として、第9地区を解体し他の隔離地域に移住させようとする人間達。任務中、計画の責任者ヴィカスが不注意からエビ達の所持する液体を被ってしまい、体調の異常を訴える。ヴィカスに起きた異変は、彼の人生を一変させるものだった。


人間達とエイリアン達を使い、差別問題とアパルトヘイトを主題にしたSF映画。
人間サイドはエイリアンをエビと呼び蔑み、隔離し管理している。対してエイリアンサイドは隔離されスラムと化した地区の中で、細々と生きている。
ドキュメンタリー風のシーンと通常のシーンを組み合わせて構成されており、退屈しがちな導入部分を飽きないよう上手く展開している。
ヴィカスと関わることになるエイリアンのクリストファーは、知的で冷静であり宇宙船を修理し宇宙へ帰ろうとしている、恐らくエイリアンの支配者層の生き残りと思われるが、彼は作中の野蛮で愚かな人間達より余程人間らしく描かれている。そのため、途中から見た目のグロテスクさも吹き飛び、深く感情移入してしまっていた。
一般的なエイリアン物の作品はとは違い、人間とエイリアンの交流についてクローズアップされた斬新なストーリーと、強いメッセージ性を持つ新たなジャンルのSF映画だと感じた。
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