男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼けのわのレビュー・感想・評価

人の気持が人を動かすという当たり前の事に説得力を持たせる物語の力強さ。もう仕方がないと諦める面々を前に「裁判所が向こうの肩を持つなら、俺が代わりにやっつけてやる」と、相手の居場所も聞かずに出ていく寅さん。彼を見て「幸せや、お金なんかいらない」というぼたん。そしてラスト、寅さんの思いに応えた牡丹の絵に、「１千万円でも譲らん、宝物や」。醤油樽に乗り、東京の方を向いて手を合わせる寅さん。一つ一つの行動を見れば、短絡的だったりするのだけれど、人と共に在るという精神に貫かれている