ぱねぇ

日本のいちばん長い日のぱねぇのレビュー・感想・評価

日本のいちばん長い日(1967年製作の映画)
4.9
本作は、1945年8月14日正午に御前会議で敗戦が決定されてから、宮城事件を経て15日正午にラジオにてポツダム宣言受諾が日本国民に知らされるまでの一日を描く。

かなり前、おそらく中学生か高校生の初め頃に鑑賞したが、よく覚えていなかったために再度鑑賞。
非常に重いテーマであり、出演者のほとんどが戦争体験者であるがゆえに当事者たちの混乱、動揺、葛藤が生々しく、圧倒的なリアリティで映し出されていた。

日本人絶滅の危機を回避すべく終戦の機を逃すわけにはいかないとする重臣たちと、戦死を遂げた英霊たちのためにも徹底的に抗戦すべきだとする旧日本陸軍の一部の将校たち。
双方の言い分はどちらもよく理解できる。
善悪で判定が不可能なほど、それぞれが強い信念を持ち、僕がいまも健やかに暮らすこの日本という国に精神を捧げていたのだ。彼らの考えは対立していたが、一人ひとりが必死に生きて導き出した答えだったのだ。終戦を決意した昭和天皇はじめ鈴木内閣の閣僚たちと、日本の精神性を信じ護ろうとした兵士たちには心から敬意を表したい。

そして、今まさに日本の平和が脅かされる事態になりつつある。僕は絶対に日本の核武装は反対派だ。しかしアメリカとの核シェアリングをし、強大な軍事力をもって国を護るべきだという意見が囁かれ始めてきている。やはり最悪の事態に直面した時、この国を護持するための日本に残された道は核武装なのだろうか、と考えが揺らぐ一方で、この映画の最後に語られた戦争体験者の願いはなんだったのか、と我に帰る。それは本作で仲代達矢さんの素晴らしいナレーションによって語られた「この日本の上に二度と同じ惨劇が起きないこと」ではないのか。世界唯一の被爆国である我々は、断固として"核反対"と"平和主義"を貫くべきである。平和を掲げる日本の精神こそ、先の大戦で得た我々の信念ではないのか。

世界を変えられるのは、裸一貫で平和を叫び続けること。戦争を経験したことのない平和ボケした若者の戯言程度に聞いてもらってかまわない。しかしひとつこれだけは日本人全体の願いだと思って言っておきたい。
「いつまでも日本が平和でありますように。」
ぱねぇ

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