菩薩

福祉の菩薩のレビュー・感想・評価

福祉(1975年製作の映画)
5.0
すげぇ…凄いですよ奥さん…この作品『チチカット・フォーリーズ』よりある意味狂ってますよ…。想像するにおそらく社会保障局と福祉局は若干二重行政じみていて、かつどちらの管轄になるかは結構曖昧、かつまだまだペーパー管理が主流な時代でミスも多く、勘違いからのたらい回しもあれば面倒いからと意図的なたらい回しも頻発している。スタッフはそれなりに毎日の業務に一生懸命に取り組んでいるけど、なんせ数は多いし、今日の寝床、飯すら無いもので困窮者達はかなり必死、ってまぁ…必死通り越してかなり傲慢な奴も相当いるんだけど…。泣きながら援助を訴えるジョンソンさんの横でスペイン語でまくし立てる謎のババア、俺が持ってるのは紙切ればかりだと一枚一枚丁寧に床に捨てていく退役軍人、俺のマグナムで黒人全員抹殺してやると息巻く白人至上主義のやばいおっさん(今作私的MVP!!!)、たむけんもしくはMisfitsのダンジグの如き前髪を持つその前髪よりもソリッドなオカン大好きっ子…etc、と言っちゃ悪いけど貧乏にとことんまで毒された曲者に次ぐ曲者ばかりで、画面から滲み出るストレスが半端でない事になってる…。そして最後に出てくるゴトーを待ちわび過ぎてるチョコバー大好きおっさん、いやまぁこちとら名画座等で著しく人間性を消失したシネフィルさん達の独り言には多少慣れてるつもりだけど、あれはもうそんなレベルを超えて完全に一人芝居、隣に座ってるおばさんの曇った表情は忘れ難い。いやぁ恐ろしい物を見た、俺も結構金無い金無いって口癖の様に嘆いててメンタルきっつーなんて思う事もあるけど、どうやらまだまだ正常らしい…。アメリカの福祉がどれだけ充実してるかもちょっと分からないけど、行き過ぎた福祉国家の成れの果てを見た気がする、みんなあんだけ元気ならちゃんと働きましょうね…。
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