ガンプ

機動警察パトレイバー THE MOVIEのガンプのレビュー・感想・評価

3.7

“押井守”の作品である。
つまり、これは“押井守”の世界観の創造であり、終焉であり、復活である。

ストーリーの点で言えば、押井守は意図的に奥行きを深くさせずにいると思う。要は、“得体不明のモノへの信頼”や“都市社会への懐疑”などの視点を内包しているにも関わらずに、そこを深掘りすることを敢えて避けて、視聴者に投げかける形で終わる。例えば、エヴァンゲリオンは20数年をかけて、“少年の死と蘇生”や“犠牲の重要性”を
語り、物語の中でそれらは完結するわけである。
もちろん、視聴者の投げかも忘れてはいない。

そこでこの作品に注目すべきは、画である。
だがこの場合の“画”は、少々観念的になってはしまうが、物語の世界観ではなく、“押井守”の世界観に寄与している(されている)。
この映画を見た人なら理解する通り、一枚一枚の画の迫力は凄まじい。それらは、神々しく、毒々しく、不気味で、カルト的である。それらの様々な画の種類によって形成される世界観とは、一貫とした物語としてではなく、“押井守”の世界観である。分かりやすく言えば、画の表現の多さのおかげで、無秩序に世界観が構成されてる。それらの画が各々、象徴的に“押井守”を作り上げている。
そしてそれらの画は、創造から終焉(物語自体の流れ)へと向かい、パトレイバー2へと続くのである。

もちろんストーリーも押井守にしては、かなりエンタメ寄りであり鑑賞しやすい。
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