ミミ

十二人の怒れる男のミミのレビュー・感想・評価

十二人の怒れる男(1957年製作の映画)
4.4
1957年の作品と言うことで、色すら付いていませんでしたが「凄いものを観たな。」と言うのが率直な感想です。ほぼ同じ部屋の中で議論しているだけなのですが、役者の演技と言い、展開と言い、題材と言い、凄く引き込まれる内容で驚きでした。60年以上前の作品なのに全く古びてません。いやー、映像技術だけが作品の良さを決める訳ではないとつくづく思いました。


陪審員12人、全員が意見を一致させないと帰れない状況で、有罪11人対無罪1人でスタート。

決め付け。差別。偏見。雑談混じりで「さっさと決めちまおうぜ!」のテンション等々、自分が裁かれる側だったら怖過ぎる状況のオンパレードです。有罪だったら死刑なのに「投票で適当に決めちまおうぜ」とは、こんな恐ろしいことはない。

また、裁く側の立場で観るとしても「有罪」の確信」が持てないから「無罪」と言う意見は分かります。しかし、だからと言って「無罪」の確信がある訳ではない状況。そんな状況に陥った場合の立ち振る舞いは、とてつもなく難しいと思いました。(劇中でも散々語られていたが)。特に、今回は被害者がたまたま身内でしたが、そうじゃない場合を仮定してみたら、遺族の方の気持ちなども加味して余計に悩んでしまいそうです。

ラストシーン。あんなに熱い議論を交わした12人が意見をまとめて提出した瞬間から"赤の他人"に戻り、帰って行く光景に、不思議な虚無感を覚えました。そりゃそうでしょうけど、実際もあんな感じなのでしょうか。とても不思議。

「自分が裁判員に選ばれたとしたら、どう言う心持ちで行くべきなのだろうか」深々と考えさせられてしまう点も含めて、名作でした!!
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