たす

十二人の怒れる男のたすのレビュー・感想・評価

十二人の怒れる男(1957年製作の映画)
4.3
裁判員制度を扱った作品。
小学生か中学生のときに授業で観たきり二回目の視聴。当時も衝撃を受けたことを覚えている。

12人の男たちが、たった一つの暑い密室で、たった一つの事件についてひたすら討論する映画。モノクロで、音楽もなく、登場するのは怒ったおじさんだけ。それぞれ名前もわからない。そんな味気ない演出なのにまったく飽きずにどんどん引き込まれていく、脚本勝負の名作。

扱う事件は証拠も証言も揃っており、一見容疑者は有罪に見える。しかし投票すると11対1で無罪を主張する人が。彼は、容疑者が殺していないと断定するわけではない。ただ、「わからない」「有罪と断定できない」と主張。そこから次々疑問が出現し、結論がひっくり返っていく。

正直真相はわからない。もしかしたら罪人が1人解放されることになるかもしれない。でも事件と向き合い、一つ一つ丁寧に読み解いていくことで、12人の意見が無罪で一致するほど疑問が出てきた。1人の無罪の少年の命を救うことに繋がったかもしれない。主人公の8番を筆頭に本当に偉大な討論をしたと思う。

どうしても身近に感じられないテーマだけど、私もいつ男たち側に立つかわからない。陪審員の難しさ、重要性、責任を知り、自分事化できる重要な作品だと思った。
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