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嘆きのテレーズのbennoのレビュー・感想・評価

嘆きのテレーズ(1952年製作の映画)
3.6
病弱でマザコンの夫カミーユと息子を溺愛して嫁いびりが激しい姑、その間で長年従順に尽くしてきた嫁テレーズ ある日を境に、テレーズはトラック運転手のローランと不倫の恋に落ち、ある事件へと発展する…

大好きなフランス文学の大家Émile Zolaの原作≪Thérèse Raquin≫を現代風にアレンジしたもの
ゾラも自然主義で人物描写が素晴らしく、マルセル・カルネ監督の心情表現の演出も興味深いです

口の利けなくなった義母の、どアップ
目でテレーズを非難する描写は鬼気迫るものがあります

ある事件後にテレーズとローランが言い争うシーンでは
全てを捨てる覚悟のあるローランに対して、覚悟なしに踏み入った禁断の愛から、相手に罪を押し付けるテレーズ、愛に対する脆弱性の描写にも目を見張るものがあります

後半は原作と違って、ヒッチコック風?サスペンスの感もありますが、ゾクゾクして引き込まれてしまいます

総括して、何と言っても シモーヌ・シニョレが素晴らしい! フランスの正統派の美人女優では成立しない 何とも色気があってその中にも悪女の雰囲気もあって…稀有な女優さんだと思います(旦那様の俳優兼シャンソン歌手イヴ・モンタンもお気に入りです)
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