フランス人青年のステファンはルーマニアの田舎にある村でノラ・ルカという歌手を探しにやってきた。
そこはロマ集落。見知らぬ人物にロマの人々は戦々恐々となるが長老であるイシドールのおかげで雰囲気がほぐれていく。
ルーマニアでのロマ族の暮らしぶりや、音楽、ダンスがふんだんに描かれている。
しかしそこにはロマ族に対する差別や偏見も見え隠れしていた。
ステファンは徐々にロマ族の人たちと親しくなっていく。
彼らの切ない詩やロマ族に生まれた事による悲しい詩、などをテープに録音していく。
19世紀からジプシー奴隷制が敷かれ解放後もかなりの差別や迫害があった。
彼らの住む土地は劣悪で電気も水道もない。
小屋やテント暮らし。
子供たちはまともな教育も受けられない。
彼らの明るさや歌、ダンスが描かれてはいるが、歴史を思うと切なさも感じる。
それでも彼らは強く逞しく生きるしかないのだと思った。
だからこその歌やダンスなのかとも感じた。
ステファンを通してそんなロマ族が描かれている。
ラストシーンのステファンの行動は分かる気がする。
トニー・ガトリフ監督作品
ルーマニア、フランスの共同制作