リリィ

ヴィヨンの妻 桜桃とタンポポのリリィのレビュー・感想・評価

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当時高校生の私は、映画を見終えたその時に「あぁ、私は佐知のような女になりたい」と思ったのをよく覚えてる。
アラサーとなった今でも憧れの女性は松たか子演じる佐知だ。なれっこないから、憧れなのだ。

大好きな映画すぎて、ずっとレビューをかけずにいたけれどようやくタイミングが掴めた。

くすんだような画面、トーンの低い色が多い中、佐知の唇、そしてラスト桜桃のビビッドな色合いがとても色っぽい。
終始寂しげな空気の漂う作品、大谷の哀愁が佐知への愛執に溶け込んでいて、佐知の大谷への愛執が作品の哀愁を際立たせていて、本当に愛おしい。

原作があっての映画であることは理解しているつもりだけれど、太宰の原作をこのような作品に落とし込んだ製作陣には感謝しかない。

生涯に残る大切な映画です。
リリィ

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