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真実の瞬間(とき)のnagarebosiのレビュー・感想・評価

真実の瞬間(とき)(1991年製作の映画)
4.5
1950年代のアメリカはほんとに恐ろしいことをしていた。「赤狩り」というまるで中世の魔女狩りにも似た、勝手に共産主義者をでっちあげ、無実の人達を国家権力で罪人にしてしまう。もはや人として最低で最悪なことだと思う。いくら冷戦下であってもこんなことは許せないし激しい怒りが沸いてきた。
この作品はフィクションだが、私の胸に強く響いた。
主人公の映画に全てを捧げた監督をデ・ニーロが抑えた、しかしながらも力強い演技には圧倒されたし、奥さん役のアネット・ベニングのクライマックスシーンでの表情などは私の心にぐっときた。
衣装も男性キャストにはヒューゴ・ボスが携わっただけあり、地味だが哀れではない感じも良くシンプルだけど好感がもてた。
クライマックスの公聴会のシーンは音声や効果音などで主人公の心情や気持ちがこちらにも伝わってくるほどの緊張感と揺らぎだった。
私ならどうしただろうか、今の生活を維持したいがために無実の友人の名を挙げるだろうか、いや、それは人として最低な行為だから、主人公と同じくやはり権力には屈しないだろう。
こういった権力対個人の戦いは、いつ観ても私の心を強く揺さぶり続ける。