ひよこ

櫂のひよこのレビュー・感想・評価

(1985年製作の映画)
3.5
大正〜昭和の高知が舞台のこの作品。
鬼龍院花子の生涯、陽暉楼、櫂と宮尾登美子原作・五社英雄監督の高知三部作と言われているらしいが、この櫂は、宮尾登美子の自伝的作品らしい。陽暉楼に引き続き、緒形拳は、またもや女衒の役。この人、女衒役上手いよね〜。作者の宮尾登美子自身が、女衒の父と娘義太夫の愛人との子供らしい。(この作品中では綾子の役どころが宮尾登美子本人なんだろう)
この父は、貧乏な家の娘は、遊郭で働いて家族を助けるのが一番いい孝行の方法だと信じており、妻の貴和(十朱幸代)は、そんな夫の職業が納得できない。
とにかく、十朱幸代の演技が、切なくて切なくて、貴和さんが気の毒で仕方なかった。

大体、父親が女衒ってどうよ?ちょっと特殊過ぎるやろ?!

男尊女卑のこの時代、家長である夫が妾を作ろうが外で子供を作ろうが割り切らないと女は生きていけない時代、嫌なものは嫌と意地を貫き通す妻。思い通りにならない妻に苛立つ夫。
三部作では、どれも、女の意地が描かれているが、その中で私はこの櫂の貴和さんが一番好きかな。
ひよこ

ひよこ