山浦国見

櫂の山浦国見のレビュー・感想・評価

(1985年製作の映画)
3.6
緒方拳のイメージは、私の中で、女衒師なんですよ。それは本作品の他に、

陽暉楼
女衒

と、女衒役を多く演じているから。小狡く、卑屈でありながら機転が利き、口八丁手八丁。なのに不器用武骨な役は彼の十八番。

楢山節考
鬼畜
火宅の人

でも、そんな役どころでした。まぁ鬼畜の場合は、威厳は無く、ただただ気弱で、やっている事は文字通り鬼畜の所業ながら、女・子供に振り回される小者な面が強く見られました。対して本作品では威厳があります。

楢山節考の辰平も母親に翻弄されますし、火宅の人の檀一雄も、女性間を渡り歩いているように見えて、その実は翻弄されているんですね。まぁ一雄の場合はそれを自覚しており、自ら火宅の人と自嘲していますしね。

そんな緒方拳さんに負けない迫力を見せるのが、十朱幸代さん。他のキャストの存在が薄まるくらいの凝縮濃厚な二人です。

鬼龍院花子の生涯
陽暉楼

に連なる高知三部作の最終作品。
段々タイトルの文字数が少なくなる(*´∀`)

まぁそんな冗談はさておき、櫂は廓話ではなく、女衒に嫁いだ女の波乱万丈な人生を描いています。廓内部を描いているのは、実は三部作では陽暉楼だけ。鬼龍院花子の生涯はやくざに養子入りした少女の人生でしたから。

ただ、三部作通して考えると、やはり一番完成度が高いのは、鬼龍院花子の生涯だったかな、という印象を受けます。陽暉楼も櫂も決して駄作ではありません。しかし、鬼龍院花子の生涯で仲代達矢と夏目雅子が放つ異様なまでのオーラには敵わない。まぁタイトルも三部作の中で一番地味ですしね。(о´∀`о)

それでも、後にプッツン女優として世間を賑わせる石原真理子とか、島田紳助も登場しますので、
その辺でも楽しめます。
山浦国見

山浦国見