ぱねぇ

大人は判ってくれないのぱねぇのレビュー・感想・評価

大人は判ってくれない(1959年製作の映画)
4.9
12歳の少年:アントワーヌ・ドワネルは、これまで両親からの愛情や温もりを感じたことがなかった。
ドワネルは、共働きの両親が帰宅するまでに掃除を終わらせ、夕食後はその片付けに追われる。
布団に入ると、父と母の言い争う怒鳴り声が、彼の不安や寂しさを強くしていった。
また学校でのドワネルは、教師から問題児として扱われていた。
冷たい日々からくる寂しさを紛らわすために学校ではイタズラを繰り返し、また授業をサボり、家出までもした。
そんな彼の心の内を知ろうとしたり、彼の話を真摯に聞いてくれる大人は、ひとりとしていなかった。
そしてついにドワネルは....

映画史上における最も大きな映画革命:フランスヌーヴェルヴァーグを代表する最高傑作であり、フランソワ・トリュフォーが監督を務めた。

高校生の頃に初めて鑑賞し、その時から自分にとって最も大好きな映画のひとつであった。しかし久々にまた見たくなり、Blu-rayをAmazonにて購入し再鑑賞に至った。
うん、間違いなく最強最高の映画だ。

もはや冒頭から心を鷲掴みにされる。美しいパリの風景を写したシーンは、これから小さな少年に起こる悲劇とは対照的であり、それを暗示させているかのようでゾクゾクする。

そして大人の描き方が本当にリアル。大人ってさ、子どもの話なんかちゃんと聞かないんだよね。子どもが失敗したり悪さをすると、叱責して無理にでも正そうとする。子どもがその行為に至った経緯、心情を理解するどころか聞こうとすらしない。一概に全ての大人がそのような態度であるとは言わない。しかし少なくともこの映画に登場する大人や、僕が少年時代に関わった大人たちはそんな感じだった。

あとね、もうね、ラストにドワネルが海に向かって走るじゃん。そこ本当に泣いちゃうのよ。もう絶望しかなくて泣いちゃう。

たしかこの映画ってトリュフォー自身の少年時代をモデルにしてたような気がするんだけど、もしそうならトリュフォーはかなりの苦労人だったんだろうなぁ。

彼には心から感謝するよ。こんなにも素晴らしい作品を遺してくれたことに....
ぱねぇ

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