かぼす

サンダカン八番娼館 望郷のかぼすのレビュー・感想・評価

サンダカン八番娼館 望郷(1974年製作の映画)
4.0
新しいゴザの上で「美しかぁ〜」と喜ぶサキに泣けた。ボルネオに発つ前夜の、新しい着物に喜ぶ少女の姿が被って見えたから。ゴザも着物も粗末なものなのに、最上級の喜びの表現。凄まじい絵面だった。
人生をやり直そうとしても、過去が足を引っ張って結局は貧困と孤独に行き着いてしまった。孤独を慰めたのは取材を目的に近づいてきた圭子だけ、その救いのか細さにまた泣けた。
あなた達のことを忘れません、なんて念じたとて、鎮魂の祈りすら拒絶する故郷への不信と絶望。そんなヘイトに満ちた望郷があることを知った。
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