しらす

ウェルカム・ドールハウスのしらすのレビュー・感想・評価

ウェルカム・ドールハウス(1995年製作の映画)
3.5
大学の授業で鑑賞


ブスでいじめられっ子のドーンが終始不憫なのに対し、皮肉かのようにポップで可愛いシーンが多く、その組み合わせが絶妙で面白かった。特に、ドーンの悲劇の後で差し込まれる妹の優雅なバレエシーンも憎たらしかった。
ドーンの不器用さに何度もイライラした。走ってる時のどしどししてる感じ、でかいお尻、立ち方、牛乳瓶の底みたいな眼鏡、言動、全部がダサい。対して、妹の可愛さ、幼い頃からの立ち回りの上手さ、静かに姉を出し抜く術は天性である。ただ単に性悪な母親よりも一枚上手だろう。そういう人間は実際にいるが、いくつになってもそうやって生きていくのだと思う。兄は、自分が人気者にはなれない人種であることを悟り、有名大学を志すことで自分の尊厳を保とうとしている。ドーンはいずれ兄のように生きていくのかもしれないと思うと悲しい。私がドーンなら自殺も考えると思うがドーンはそうしない。幼いからこそ存在する図太さがあるからだと思う。それは成長するにつれて崩れていってしまい、完全になくなってしまうかもしれない。そうなったらドーンは生きることをやめるかも。
ブランドンも悪ガキ大将を演じながらも周囲から孤立していた。ドーンに近づいたのは自分より下だと思っていたからで、自分より格下の子といると落ち着く、性への興味もある、だからちょっと一緒にいたのだろう。
これがリアルなティーン映画かもしれない。冴えないいじめられっ子が美人に変身してプロムクイーンに!みたいなよくある映画が私は好きだが、それらはフィクションであることを痛感した。
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