贅肉

パンチドランク・ラブの贅肉のレビュー・感想・評価

パンチドランク・ラブ(2002年製作の映画)
3.0
若さと勢いでヤり切った躁的な「ブギーナイツ」「マグノリア」を経て、落ち着いて映画を撮ろうとするポール・トーマス・アンダーソン。他人に流されてばかりの男が一人の女性に出会ったことで揺るぎない芯を獲得していく過程を映画にしている。ただし恋愛は見せかけでその奥にあるのは「キチガイと暴力」、知障と破壊衝動を抱えるも事業始動して一門立てようとする哀しきキチガイ アダム・サンドラーとサンドラーを囲う7人の頭おかしい姉たち、チンピラ詐欺集団(大将はフィリップ・シーモア・ホフマン)との暴力沙汰、一体何だというのだPTA…。
95分でシンプルに収めているが閉じた人物関係の円環でしかないので世界に広がりがない。その中で映画的な瞬間・カメラを意識されまくってもなぁ…と魔法が解けかかる時が観ていて何度かあった。ここまでポール・トーマス・アンダーソンを追ってきて気付いたのはその物語(であったり人物)には影はあるものの総じて綺麗事。綺麗事を仰々しく見せられて喜べるほど俺は純白ではない。さぁここから次作「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」へどう繋がるか!?キチガイと(過剰な)暴力で押し切れていれば10点満点中7点は確実だが、もっと言うと箱庭に新たな人物を参入させていって際限なく映画を膨らませてほしい!
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