【少年同士の友情と裏切り】
2007年のアメリカ映画でマーク・フォスター監督作品だが、主たる舞台はアフガニスタンである。
アフガニスタン難民である作家が自分の体験に基づいた小説をアメリカで出版したところベストセラーになり、映画化もされたという。
主人公はアフガニスタンで少年時代を過ごした。父は裕福で、家には使用人とその息子がおり、主人公と使用人の息子はほぼ同年齢で仲がよかった。しかしある時、主人公は使用人の息子に負い目を感じ、彼に無実の罪を着せ、その事件がきっかけで使用人とその息子は家を出ていってしまう。
やがてアフガニスタンにはソ連軍が侵攻し、かねてから共産主義を嫌っていた父は主人公を連れてアフガンを脱出しアメリカに渡る。成長して作家となった主人公。その彼のもとに届いた知らせとは・・・。
前半は少年同士の友情と裏切りの物語で、背景になっているアフガンの町の情景も興味深く、悪くない展開である。アメリカに渡ってからの物語はやや類型的になるのだが、そのあと再び過去との接点ができてきて、物語としてうまく締めくくられている印象だ。
ソ連に蹂躙されたりタリバンに暴力的な支配をされたりしてきたアフガンの歴史の流れも伝わってきて、人間の運命と歴史の残酷さの双方がしみじみと感じられる佳作と言えるだろう。