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Dolls ドールズのtakumantaのレビュー・感想・評価

Dolls ドールズ(2002年製作の映画)
3.5
美しい。
衣装や四季折々の自然はもちろん、「繋がり乞食」が乗っている黄色い車、地を這う赤い糸(ならぬ紐)などの細部まで、色が鮮やか。北野武はこんな映画も撮れるのか、と驚くばかり。

西島秀俊さんと車、そして話さない女性とのロードトリップとなるとどうしたって『ドライブマイカー』が頭をよぎるが、もしやここからの配役だったりして。
しかしなぜ彼は、どこか心を失ったような男性役がこんなに合うのだろうか。この映画当時は30歳だというのに。

菅野美穂さん演じる女性の幼児退行っぽさも絶妙で、息を吹いて浮かせる球が潰れちゃったことで泣くところとか、子供的な心の理解の仕方がすごい。北野さんの脚本なので彼の案なのだと思うけど、だとしたら彼はとても繊細な方なのだろう。非現実的に見えてとてもリアルで、少し怖くなってしまった。

3組の男女が登場するが、そこの繋がりがほとんどなく、ぶつ切りの物語が並行して描かれる感じなので、もう少し繋がりを持たせるか、もしくは短編3本にしても良かったんじゃないかなと思った。
伏線回収と大団円と分かりやすいハッピーエンドがない伊坂幸太郎短編みたいな感じと言えなくもないかも。

あと、兄弟分の息子は必要だったのだろうか…笑
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