なこ

Dolls ドールズのなこのレビュー・感想・評価

Dolls ドールズ(2002年製作の映画)
3.5
赤ってとても美しくて強くてその強さゆえにときに恐ろしい色。まさに赤色な映画でした。
画面に散らばる豊かな色彩のなかでひときわ目を引く赤色が脳裏に焼きついて離れない。
なんとなく居心地の悪い、キモチワルイ映画だったけれどそれがたまらない!

三組の男女が描かれるが、いずれも狂気を感じるほどの愛に侵されて、その愛に苦しんでいて。とつぜん先の見えない暗闇の中に落とされたような気分。ただただひたすら哀しくてしょうがなかった。まっくらで、この先どうなるのだろうとひたすら暗い虚ろな気持ちでスクリーンを眺めていた。そして最後に一瞬だけ、光が差したと思ったら容赦なく堕ちる。ほんとうに救いがなくまさに暴力的でとてもうつくしくてよかった。

個人的には片目を失ったアイドルのファンが彼女の今の顔を見ないように精いっぱい目に焼き付けてから両目を潰すシーンが哀しすぎてだいすき。春琴抄!

北野武監督の映画はまだ手探りの三作目だけれど、死を事件ではなくどこにでも転がっている普遍的でありふれたものとして扱っているのがとても好感がもてる!
なこ

なこ