映画おじいさん

可愛い花の映画おじいさんのレビュー・感想・評価

可愛い花(1959年製作の映画)
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洒落たフランス語の宣伝文句を諳んじる、ちょっとだけオカマっぽい化粧会社社長秘書・藤村有弘のオープニングからニッコリ。拾い物の小品でした。

いきなり時代劇になったり、ラーメン屋の丁稚が探偵だったり、の画も面白くて序盤から引き込まれた。

自家用車を乗りこなす売れっ子私立女探偵を嫁に持つ、レコード会社(ミサイルレコード!)のダメダメなスカウトマンの岡田眞澄。
この夫婦の関係で、女性が強くなりつつある当時の社会が垣間見れて面白かった。

スカウトマンながら人を見る目ゼロ、仕事も当然出来ない岡田眞澄がラジオで株式ニュースばっかり聞いているのも高度成長期な時代を表していた。
この頃の映画にはラジオの株式ニュースを聞く場面がよくある。で、やっぱりギャンブル的に描いている。働かず楽して金儲けみたいに。

ザ・ピーナッツの二人が生き別れた双子で、二人とも歌手志望でレコード会社でバッタリ。そこで入れ替わりお互いの家に潜入というお約束な展開だけど、すぐに種明かしして双子ネタをあんまり引っ張らないところも良かった。尺が短いからというのもあるだろうけど。

神戸瓢介がレコード会社社長二人の写真を撮る軽薄なスポーツ新聞カメラマン役で、ワンシーンゲスト出演ながらその場をかっさらっていて最高。ああいうカメラマンは今でも実際にいそう。

岡田眞澄の見る目のなさでライバル会社アトミックレコード(←これもナイスネーミング)のスターとなった平尾昌晃が、詐欺まがいではなく直球詐欺でザ・ピーナッツの契約をとるのも笑った。

岡田に屈辱的対応をされた過去があるのに付き合いがまだあるどころか契約コミッションを岡田に渡す平尾。なんで?だったけど、そこからが最高。
平尾から貰った金を株にブッ込んで大儲け。札束と高笑いの顔アップがクロスオーバーしたハッピーエンド。

なんの取り柄もなく調子の良い怠け者で半分嫁のヒモみたいな男が結局は大成功という素晴らしい結末でした。

ザ・ピーナッツのライブシーンも程よい長さで◎。もちろんレコーディングスタジオでのライブなど内容自体も◎。