rio0523

座頭市のrio0523のレビュー・感想・評価

座頭市(2003年製作の映画)
4.5
北野武映画あまりにもカッコ良すぎるうう…

大胆な時間と空間の連続性をぶった斬るような編集は(過去作からもそうだが)ヌーヴェルヴァーグからの影響を強く感じる。映画の進行してる時間の中で唐突な回想の連なりや同じ時間の繰り返しは一方的に流れる時間とは関係なく、登場人物達それぞれの時間が反映されているようで、まさに映画でしか出来ないキャラクター描写。映画の中心に市(北野武)が置かれながらも服部(浅野忠信)やおしの(夏川結衣)達、お互いが混じり合うことのない独立した時間を持っている。ここに映画世界の時間、空間の広がりを強く感じた。また、服部は特に独立しており他のメインキャラクターとこれまでの時間を共有することがない。故に服部の独立した物語は行き先、仕方がなく体制側に着き挙句「悪いやつ」として片付けられた悲劇的な結末となる(ニューシネマ的虚無感を感じさせる。)これがラストの市の「目から目ん玉ひんむいても見えねえもんは見えねえんだけどな」という台詞に帰着している。
冒頭シーン、同じ場所にいた服部とおしの。お互い同じように過去人殺しをしたショットが割り込み、この時点では同じ立場として描かれていた両者。しかし、ラストシーンには服部はいない。見えないことで得た出会いとそこで共有された時間と出会えず共有できなかった時間、それが映画内の立場に明確な差ができてしまった。ラスト明るくタップダンスで終わらず市が上記のセリフと一緒に転んで終わるのは、映画内の一方的に進む時間で見える勧善懲悪物語の滑稽さを表しているのではないか(そう考えると唐突なまるでインド映画のようなダンスシーンも納得がいく気がする)。つまりズッコケ的な演出。

雨の戦闘シーンめちゃくちゃかっこ良かったです。戦闘シーンの市の正面と背後の映像の切り返しとかかっこいいよね。
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