チャンドラー

タクシードライバーのチャンドラーのレビュー・感想・評価

タクシードライバー(1976年製作の映画)
-
エゴの肥大化は万人に共通する現象だと思います。独り身は尚のことです。ただ、そのエゴを相対化する道具(物語、哲学、開かれた宗教、健全なコミュニティ、なんでもいいです)をもたないと、行き着く先は狂気か袋小路です。
最後までそのエゴを相対化できなかったトラヴィスは狂気、ここでは暴力的で主観的な英雄観に陥り、最後には孤独な袋小路に舞い戻ってしまいます。
そういった意味で、この映画は暗闇の中で画面を見つめる孤独なシネフィルへの良きアンチテーゼになると思います。