坂上

ロシュフォールの恋人たちの坂上のレビュー・感想・評価

ロシュフォールの恋人たち(1966年製作の映画)
4.0
ジャック・ドゥミにはミシェル・ルグランという音楽家のパートナーがいるらしく、劇中曲がたいそう素晴らしいのでぼくはいたく気に入りましたが、あくまでも映画全体へ向けてレビューをしたいなと思っています。

ロシュフォールの街で開催される年に一度のお祭りの前後数日間で起きる街のドラマが描かれています。
ミュージカルシーンのひとつひとつがキャッチーな音楽と活き活きとしたダンスによって魅力的である反面、全体としては抑揚がなく味気なくもあります。衣装は豪華絢爛という感じではないが、色鮮やかでアクリル絵の具をひっくり返したような色彩でうっとりするほどきれいです。さらに、この点には驚いたのですが、登場人物がいっさい陰鬱としておらず、悩みながらもあっけらかんとしているように思えました。

「人生は素晴らしい」的メッセージを届けているとも考えられますが、「人生はもっとシンプルだ」というメッセージの方が正しいのではないかとぼくは受けとりました。

なによりも街中のダンスシーンをロケーション撮影で行なっていてこれが最高に美しいんです。ロシュフォールの街には行ったこともないのですし、ロケーションがロシュフォールであるかどうかも知りませんが、映画の舞台へ思いを馳せざるをえませんでした。他人におすすめしたい映画です
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