映画おじいさん

河内山宗俊の映画おじいさんのレビュー・感想・評価

河内山宗俊(1936年製作の映画)
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まずは原節子が16歳で完成していたことにビビる。河内山宗俊の妻が嫉妬するのも無理はないし、妻役の女優さんがその性を素晴らしく演じていて同情してしまうほど。市川時代の加東大介もツルツル卵肌(っぽい)で良い感じ。

古過ぎて音声があんまり聞き取れず、正直始めはしんどいけど、予想以上の娯楽作で興奮。シネフィルが文句言いそうだけど字幕付きで観たかった。せめて英語字幕版でも。

序盤の軽い感じ、具体的には小柄を盗まれた武士の知ったかぶりや「やることねえからやってるんです」なヤクザの用心棒のテキトーっぷりが、後半のシリアスな立ち回りを引き立てる。

ドブ川でのチェイス&立ち回りの縦長な構図、そして俳優たちの動きから何からのカッコ良さは最高過ぎ。『第三の男』(1949年)や『地獄の謝肉祭』よりもずっとずっと良かった。とは当たり前か。

山中貞雄が最高の映画監督と心酔する友人をちょっとバカにしていたけど、彼の方が正しいかもなので悔い改めます。