河内山宗俊の作品情報・感想・評価

「河内山宗俊」に投稿された感想・評価

SKE

SKEの感想・評価

4.0
雪の降るシーンと若き原節子が眩い。要字幕、全編殆ど聞き取れない。

このレビューはネタバレを含みます

<粋なセリフとスピーディな展開で魅せる戦前の時代劇>

浪人・市之丞のセリフが秀逸。
「人のために喜んで死ねるようなら、人間、一人前じゃないかな」
「ここがわしの潮時だ。人間、潮時に取り残されると恥が多いというからな」。
侍であることに愛想を尽かした無頼漢なのだが、悪人というわけではなく、純情な一面も備えている。
小柄を盗まれ切腹かもと心配する旧友に「それでいつ腹を切りますか」と、権威を鼻で笑うような彼の態度、盗まれた小柄がセリに掛けられ、そのことが宗俊のゆすりのネタになるところなど、侍社会が徹底的に茶化され、現代にも通じる軽妙な会話でコミカルに描かれている。
製作の時代背景でいえば、本作の翌年に支那事変に突入という、キナ臭い世の中を笑い飛ばしたい気持ちがあっただろうし、命の終わりを見据えた切なさが感じられる。
もう一つの魅力は、デビュー間もない原節子の美しさ。清楚な輝きの中に、15歳とは思えない色香が漂い、この映画で小津の目に留まったという。
本作の年、山中は何と26歳、翌年中国に出征し、翌々年中国で28歳の若さで戦病死した。
発表作は26本あるが、現存するのは本作を含めて3作品のみ。本作もトーキーへの移行期で、録音状態は著しく悪く、セリフが聞き取りにくいため、リマスターDVDには字幕が用意されている。
※映画のあらすじは『偏愛的映画案内』をご覧ください。https://henaieiga.net
顔のクローズアップは3度のみ。このサイズの使い方を失ってはだめだよなあ。
居酒屋に居候する河内山宗俊と用心棒の金子市之丞。借金のために身売りをすることになった甘酒屋の娘を救うために立ち上がる…。
テンポ良く、時に笑いありで引き込まれる。当時15歳の原節子の初々しさにも眼を見張る。
ラストのアクションシーンは圧巻!
sacchinn

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2.8
いらんことしいの子供がいて、それが外で大変な事をやらかしまくって帰ってくるのだが、何故か周りの大人みんなでそれを庇いだてし、多くの他人を犠牲にし、かっこつけながら死ぬ。
ばかばかしくて笑ってしまう。
ゴト

ゴトの感想・評価

3.7
いつの世も不孝者というのはいるものだ。不肖なんて言い方もするが、私も随分と親に迷惑や心配をかけている。悪さを働いたことがないのがせめてもの救いだろう。

だから、何かをやろうとする時は少しだけ立ち止まって自分の行いが招く結果をよくよく考えなければならない。後戻り出来ないことややり直しが効かないこともある。
 
もし、ただ一人の身内である姉を三百両で身売りさせるようなことになっても、河内山宗俊や金子市之丞のような義侠的精神の持ち主はそうそういやしないことも憶えておかなくてはならない。
緑雨

緑雨の感想・評価

3.5
確かにあの雪の場面だけはタッチが独特でハッとさせられる。ハリウッド映画、フランク・キャプラのような。そして、ほとんど綿毛が降ってるような雪はフェリーニかよ、とも。最後の狭い水路でのアクションシーンといい、すごくモダンなところがある。

ただ、小柄(こづか)の競りをめぐるコミカルな件りなどとても可笑しいのだが、そのわりに悲劇っぽく展開してしまうあたりにどっちつかずの座りの悪さを覚える。
よい映画じゃ。

ラストの表情が良い。
原節子がまだ15歳、声が高い。
kaomatsu

kaomatsuの感想・評価

4.0
時代劇でありながら、勧善懲悪とはまったく無縁で、ヒーローものでもなく、主君への忠義を果たす仁義ものでもなく…そうしたありがちなストーリーテリングを一切否定し、何の見返りも求めずに、ただただ可憐な乙女とその弟の窮地を救おうとする二人の無頼派野郎の活躍ぶりが胸をすく、山中貞雄監督の傑作。こんなアンチヒーローものを、昭和初期に作っていた山中監督のスピリットたるや、タダもんじゃないよ、やっぱり。

用心棒・金子市之丞(中村翫右衛門)は、露店商から所場代を集め歩くのが生業。その中で、弟を養うために甘酒屋を一人で切り盛りする美しい娘・お浪(原節子)にだけは優しかった。そのお浪には、問題児の弟・広太郎がいる。博徒渡世に憧れる広太郎は、賭場へ入り浸る毎日。ある日広太郎は、お侍さんの由緒ある小柄を盗み、姿をくらます。弟を探し歩くお浪。逃げた先は、河内山宗俊(河原崎長十郎)とその妻が経営する居酒屋。裏の世界にも通じる宗俊は、ひょんなことから広太郎と仲良くなり、ある日彼を遊郭へ連れていく。そこで広太郎は、幼馴染みだった花魁、三千歳とばったり出会う。人生を悲観した三千歳と共に、広太郎は入水自殺するものの、三千歳は死に、広太郎はしゃあしゃあと生き残る始末。やっとの想いでお浪と再会した広太郎だが、花魁であった三千歳を死なせたことで、三千歳の身請人がお浪に対して300両を請求。そんな大金を持ち合わせるはずもないお浪は、弟のために身を売ることを決心。それを知った宗俊と市之丞は、共に策を練り、これを阻止しようとするのだが…。

サイテーな弟と、そんな弟を想う健気な姉のために、何の義理も義務もない二人の男が立ち上がる、その打算のなさやモチベーションのなさが、この作品に自由闊達な空気感をもたらし、実に心地よい。それはさながら、アンチヒーローばかりが登場した1960年代後半のアメリカン・ニューシネマを30年も前から見事に先取りしているようでもある。そして、当時15歳の原節子様は、とてつもなく大根…いや、初々しく、ゆえに原石の輝きを放ち、その可憐さは水際立っている。
凄まじい。
雪のシーンがとんでもなく綺麗。
若い頃の原節子とかラストの移動撮影とか好きなところが多すぎる。
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