山崎素人

鬼軍曹ザックの山崎素人のレビュー・感想・評価

鬼軍曹ザック(1950年製作の映画)
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戦争孤児に黒人に日系人と、各々の出自、個性を丹念に描き、没個性で教科書通りな言動しかできない中尉に対してはザックの風当たりはことのほか厳しい。兵士である以前に個人としての意思を持たない人間、引いてはそれを許さない戦争のシステム自体に対しての挑戦と見える。
最初と最後のカットをダブらせて「この物語に終わりはない」とテロップまで流す演出は少し過剰に見えるけど、朝鮮戦争真っ只中にあって制作された中でこういうメッセージが強調されることは寧ろ監督の意思の強さの現れとも受け取れる。
実際の砲撃映像を劇中に一部散りばめたところで、映画が現実と地続きにあるものだと改めて思わされ戦慄が走った。
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