鬼軍曹ザックの作品情報・感想・評価

「鬼軍曹ザック」に投稿された感想・評価

犬

犬の感想・評価

3.4


部隊が全滅し、ひとり生き残った兵士ザック
戦争孤児に救われた彼は、途中で出会った兵士たちとともに反撃のチャンスをうかがうが……

お屋敷

少年との関係
歌もあります

人間模様
ドラマが印象的

アクションも良かったです
みなみ

みなみの感想・評価

3.5
死線をくぐり抜けた軍曹ザックは韓国人の少年と出会い行動を共にする。その後黒人衛生兵や個性豊かな小隊と合流し、寺に立てこもる。
サミュエル・フラー最初期の戦争映画は低予算かつ小規模で撮られていることが容易に窺えるが、オープニングでの拡大(ヘルメット→ザックの目→散乱する死体→後手を縛られたザックが這う様子)や、仏像や少年に象徴される信仰のイメージ、見え隠れする冷酷なザックの人間らしさなど、後に再評価されるサミュエル・フラーの手腕を感じることができる。
WOWOW録画鑑賞
サミュエル・フラー監督特集
1950年アメリカ作品

「最前線物語」(1980年)のフラー監督が朝鮮戦争初期に撮った朝鮮戦争舞台の戦争映画。監督・製作・脚本を手掛けた。

米陸軍の主人公ザック軍曹は、北朝鮮軍の攻撃で小隊が全滅し1人生き残った所を韓国人少年に助けられる。
2人は原隊復帰を目指すが途中、黒人衛生兵とも合流。その後ある寺に偵察拠点を置く為に移動する小隊に合流し寺を目指すことになるが・・・

敵狙撃兵や敵の爆弾トラップ、たどり着いた寺に潜む敵兵、後半敵大群の寺への総攻撃と小隊は損害受けて1人また1人と倒れていく。
監督自身は第二次世界大戦中、北アフリカ、ヨーロッパ戦線で戦った経験を元に戦闘場面が描かれた作品。

ザック軍曹の経歴も第二次大戦のノルマンディ上陸からの歴戦の兵士として描かれている。

実写映像も所々に使われ、低予算で作られたことが伺える。
韓国の寺の中にある大仏が頻繁に顔のアップが出て、不思議な雰囲気を醸し出している。
面白い作品だった。
その支離滅裂なスラップスティックさの度合いにおいて、この映画は戦争を批判することに成功しているのではあるまいか。
通常は存在しない神的視点が大仏によって可視化する面白さ、ラストのドリフみたいな戦闘シーンも好き。
yoichiro

yoichiroの感想・評価

4.2
12月12日 DVDで鑑賞
勃発したばかりの朝鮮戦争を舞台にした、サミュエル・フラーの戦争映画。
タイトルロールの頑固な軍曹が戦場で出会った兵士の一群と、任務のために寺を死守するという話だが、頼りない指揮官、徴兵拒否者だった下士官、「仏頭」と呼ばれる日系人、黒人の衛生兵、コミュ障の兵士など、はぐれ者達が織り成す人間ドラマが見どころ。映像のスケールの小ささがいかにも低予算だが、それに決して負けない密度の濃い内容になっている。軍曹と偶然出会って行動を共にする韓国人の戦災孤児との関係が、なかなかしんみりした物語を作るが、この少年(imdbによると10歳前後だという)が利発で可愛らしい(何故か英語を話せるのはおいておくとして)。兵士がオルガンで蛍の光を演奏すると、「これは韓国の国歌だよ」と愛国歌(蛍の光のメロディがつけられた時期もあったらしい)を歌うのもユーモラスだった。
民間人に擬装しての襲撃や米兵の死体に仕掛けられたブービートラップ等、"卑劣な共産主義者"というイメージに時代を感じる。捕虜にした北朝鮮の将校(何故か英語を話す)が、黒人兵や日系人兵に「お前らを差別するアメリカのために何故戦う?」とゆさぶりをかけるのも、「共産主義の脅威」を感じるところ。
ところで、主人公の軍曹は古兵という感じだが、演じたジーン・エヴァンスは当時まだ20代後半のアラサーだった。
I

Iの感想・評価

3.9
アウトサイダーだらけの混合小隊
不動の大仏と死んでいく人間たちのリフレイン。
「すぐには解決しないこともある」
戦争孤児に黒人に日系人と、各々の出自、個性を丹念に描き、没個性で教科書通りな言動しかできない中尉に対してはザックの風当たりはことのほか厳しい。兵士である以前に個人としての意思を持たない人間、引いてはそれを許さない戦争のシステム自体に対しての挑戦と見える。
最初と最後のカットをダブらせて「この物語に終わりはない」とテロップまで流す演出は少し過剰に見えるけど、朝鮮戦争真っ只中にあって制作された中でこういうメッセージが強調されることは寧ろ監督の意思の強さの現れとも受け取れる。
実際の砲撃映像を劇中に一部散りばめたところで、映画が現実と地続きにあるものだと改めて思わされ戦慄が走った。
an

anの感想・評価

3.8
『チャイナ・ゲイト』と似た点がちらほら。フラーは女子供に甘くなく、むしろ冷酷な運命を与える。ゆえに導き出されるヒューマニズム。基地となる寺の大仏を前に拝む少年を俯瞰で捉えたショットが興味深い。しかし大仏の顔はこれでいいのか…?
netfilms

netfilmsの感想・評価

3.3
 1個の穴の開いたヘルメットが地面に置いてある。タイトルバックが終わるとヘルメットがゆっくりと上がっていき、苦みばしった男の雄姿が顔を見せる。彼の顔は戦場の土と砂煙ですすけており、微かに葉巻を咥えている。原題を「THE STEEL HELMET」というこの物語は、文字通り「鉄兜」を被った軍曹の物語である。銃弾の穴が貫通し、ヘルメットの効果を成さないその鉄兜が、軍曹にとっては勲章であり、ラッキー・アイテムとしての縁起担ぎにもなるのである。これは言うまでもなく、生き残りの象徴としての兵士の物語なのだ。ザック軍曹の部隊は敵の奇襲に合い全滅し、唯一生き残ったのはまたしてもザックだけだった。そこに遠くから物音が聞こえ、敵兵襲来と踏んだ彼は土の上に伏せ、死んだふりをする。その彼を無理矢理起こし、介抱したのはショートラウンド(ウィリアム・チャン)という名の朝鮮の戦災孤児の少年だった。サミュエル・フラーは実際に第二次世界大戦中に勲章をもらうような筋金入りの兵士(歩兵)だった。その経験を生かし、朝鮮戦争中に敵陣の背後で孤立した米兵の1分隊をでっち上げる。ザックはアメリカの戦時下の英雄でありながら、ここで朝鮮戦争孤児の少年に掬い上げられ、彼と行動を共にしていく。そんな2人の彷徨に今度はトムソン伍長(ジェイムズ・エドワーズ)という黒人兵士が目の前に現れ合流する。今作は朝鮮で孤立した兵士が、朝鮮人の少年と黒人に助けられる物語なのである。

だが戦争映画とはいえ、予算と撮影日数の制限はいかんともしがたい。映画は始まりから敵の砲撃の音はするものの、その弾は一向に飛んでくることがない。何やら茂みの奥にいるらしいことが明らかにされるのだが、茂みの向こうは靄がかかっていてよく見えないのである。セット撮影の制約からかロング・ショットもなく、映画は味方たちの表情をクローズ・アップで据える。そうこうしているうちに、ザックはドリスコル中尉(スティーヴ・ブロディ)を隊長とするブロント(ロバート・ハットン)、タナカ(リチャード・ルウ)の部隊と合流する。中盤から彼らは仏教寺院を目指して彷徨い歩くが、実際にその寺院に着いてみると何とも貧相な建物に書き割りのような仏様が鎮座している。フラーは戦争そのものよりも、彼ら1人1人のキャラクターや背景を丹念に描こうとしている。髪が全て抜け落ち、育毛剤をつける白人兵、真面目な日系兵士、無口な兵士など様々な個性溢れる兵士たちがここに集う。寺院での束の間の会話の中で、朝鮮戦争に参加することになった兵士たちの思いが滲んでいる。途中のオルガンによる『ホタルの光』と朝鮮人少年の熱唱はなんとも言えない名場面であろう。そこに兵士たちのこの戦争への思いが色濃く投影されるのである。

隠れている北朝鮮将校を逮捕し、ショートラウンドとともに司令部へ護送しようとした矢先に悲劇は起こる。問題は捕虜の死よりも、その後の激昂したザックによる北朝鮮将校の殺害であろう。ジュネーブ条約を守っていたはずのアメリカ人が、その条約を無視して殺害していたとなれば軍法会議にかけられるような大問題だが、フラーは戦争というものは道理の通じないものであるということを声高に叫んでいる。実際に今作が封切られた時期はマッカーシズム溢れる雰囲気であり、戦争のタブーをストレートに描いた今作は真っ先に糾弾された。しかしながらそのことがかえって全米中の注目を集めることとなり、映画は独立系プロダクションのB級映画としては記録的なヒットとなる。余談だが、『インディ・ジョーンズ』シリーズのパート2『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』において、主人公のインディについてくる キー・ホイ・クァンが演じた中国人の少年は、今作の朝鮮の戦災孤児の少年と同じ「ショートラウンド」と名付けられている。あの映画でスピルバーグとルーカスは、サミュエル・フラーというB級映画の大先輩にオマージュを捧げているのである。
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