刑法第39条
1.心神喪失者の行為は、罰しない。
2.心神耗弱者の行為は、その刑を減軽する。
物語のはじまり、同題材として連想されたのは、やはりあの映画、リチャード・ギア主演の「真実の行方」だ。多重人格者を演じることを演じたエドワード・ノートンの怪演には度肝をぬかれた。監督には申し訳ないと思いながらも、物語の進行やカメラワークなど、どうしても比較しながらみていたのだが、邦画ならではの、洋画とは比較にもならぬあの重厚感がとても、とてもよかった。
大きく違うなと思ったのは、サスペンスものだと、焦点となるのは"真実は何か"になるとおもうのだが、あくまでこの作品は「刑法第39条」についてがテーマなので、多重人格だということも、それを演じているという見解を出すのも、とても早い。(あまりに早すぎて驚いた)それに堤真一の演技は素晴らしいのだけれど、最初の多重人格演技があまりにわざとらしく...でも、それもまた監督の意図なのかと思うと納得。
堤真一、鈴木京香、岸部一徳、樹木希林と名だたる俳優陣ばかり。誰しもが何かを抱えているような、重たい演技は見所。ただ欲を言うならば、本当の彼の姿(そして彼がどのような思いで実行したかの過程)のシーンがもう少し欲しかったし、最後がお粗末すぎてもうちょっとこだわりをもってほしかった。