Arima

地球の静止する日のArimaのレビュー・感想・評価

地球の静止する日(1951年製作の映画)
4.0
ひっくり返した金魚鉢を被って思いっきり人間然とした宇宙人と、脚を曲げない様に心配りをしながらテクテク歩いてくるロボットを観た時は「んっ!」と息が詰まりそうになったが、最後まで気の抜けない面白SFだった。

2023年にもぶっ刺さる宇宙人のメッセージが普遍的である悲しさよ。
「核戦争?昔の映画だなぁ。」と言ってやれないやるせなさよ。

軍に対する不信感を無遠慮に描いており、大局を見れない無能な存在としている。
一方で科学者に希望を見出している宇宙人だが、メッセージのみ言い放って星に帰ってしまう。
己の生命を絶たれても尚、任務を遂げる宇宙人の気骨は買うが人類の愚かさについては見通しが甘過ぎる。
優し過ぎて邪悪の根深さに気付かなかったのか。

宇宙人クラトゥの優男感が凄すぎて、中盤から子供を巻き込んだ男女の愛憎劇になるかと思ったが、上手い具合に宇宙人が追い込まれてゆく展開と調和していて見応えあり。

ロボットゴートもいざ動き出すと頼もしく、ツルツルのフォルムが掴み所のない不穏な空気感と圧倒的な力を感じさせ、登場時のイメージを覆してきた。

でも1番好きなのは宇宙人が黒板に数式の解を記す所やな。
グッド・ウィル・ハンティングでも大好きなシーンだけれど、俺はなぜこの手シーンが好きなのか?
知性への無いものねだりと、卑屈さに隠れた自己顕示欲の入り混じった感情を簡潔に表情出来ているからだろうか(クラトゥに卑屈さは無かったけど)。
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