テレビドラマの再構成版。
町の花火大会の日、やりきれない家庭環境を抱えた奥菜恵が同級生を家出に誘う話と聞くと、さぞかし大事件を想像してしまうのだけど、家出自体は未遂に終わるし、それ以外に衆目を引く事件が起こるわけでもない。
そんな、良く言えばジュブナイルな心の機微を淡々と捉えることに重きを置いた、乱暴かつ悪く言えば大した事件が起こるわけでもない物語がドラマとしてテレビで放送されていた事実に90年代のテレビのリテラシーの高さ、余裕を感じる。
ただもともとテレビドラマだったからこそ+αの評価もつけたくなるが、はじめから映画として世に出ていたらどうだったのだろう。
ミニマルかつ最後の余韻を十分残すような形での再構成には大成功していると思うけど、今まで何十回と映画で見せられてきたような小学生の男女の距離感とか、少し背伸びして見える小学校の時の女子、自分ではどうしようもできない家庭環境に対するやり場のない気持ち、なんてものはペタペタだし、奥菜恵のセリフもやたらとクサい。媒体がどうのこうのと言っている時点で心からは楽しめなかったのだと思う。
