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レオン 完全版のgeminidoorsのレビュー・感想・評価

レオン 完全版(1994年製作の映画)
4.7
当時劇場公開版を観て、思い切ってDVD買い(当時は高かったのょ!)その後4-5回は観て、完全版の廉価版が発売され出して直ぐ手に入れて3-4回は観て。

ゴットファーザーやパルプ・フィクションや色んな意味でエポックな映画が彗星の如く現れ、その時代時代で世界中の各地でヒトビトを魅了し、好き嫌いは別として多岐に渡り影響を与えたりする。そしていつしか、その映画"以前・以降"なんて表現の物差しに挙げられたりする。
しいては"本作も例に漏れず"とワタシは思ったりする。
レオン以降の少女と"子連れ狼"的な作品(意味通じない世代も多いのかしらん)や"孤独な暗殺者の迷い"的な作品の数、そして内容の展開を鑑みれば判る。

然しながら、個人的には脚本や演出や照明やカメラワークや編集の全てに於いて、(超ド級に金や時間をかけても怠惰な作品も世の中には在るのに対し)監督の当時の若さとやる気(世界に打って出る前向き感みたいな)が大爆発である。
それらを勢い余ってやり過ぎる事なく全体をセンスで"帳尻合わせ"した力量は脱帽である。同監督のその後の何倍も費用かけた作品より、初期の"サブウェイ"や本作には、前述のセンスとイヤラシクないチカラが感じられる。
これが次回作『フィフス・エレメント』の資金集めの為の急遽3か月撮影の作品だなんて…つまりは少し"リキまなかった分だけ才能が抽出出来た"と云う事なのか⁉︎(参考にして仕事したいもんだが、なかなかネ〜)


画面トーンの統一と場面場面の緩急や。
そして何より、レオンの黒とマチルダの赤、牛乳の白や観葉植物の緑…それらの所謂原色が知らず知らず、観終えて尚も私達の脳裏に残像として思い浮かぶ。
タランティーノとは又異なる意味で監督自身が大の映画好きなんだろうと思われる引用場面も滑り出しから多々観られ、私達にはそんな気付きも面白い。
キャスティングの秀逸さ=ハマり具合も拍手×拍手だ。

そう…初見から年月が過ぎようと、(一例として)他作品でゲイリー・オールドマンに逢うと、未だに本作でマチルダのパパを仕留めに行った際にピルケースに用意していたカラフルな薬を顔を真上に向けてガリガリっと砕いて飲む御姿が思い出されてならない。劇場で初めてあの演技を観た時の衝撃を未だに覚えているよ。
やはり本作が大好きなカミさんの前で、未だに時々真似をして微妙な笑いをとっているワタシだし。(あまりしょっちゅうやっていると"もういいや"なんて投げ捨てられるが…)

*余談だが、G.オールドマンは"シド&ナンシー"での成り切り演技もかなり素晴らしかったが、ワタシの中では本作刑事がダントツピカ1かな。



難しい事は考えずに、良い意味でチープで可愛い変化球な純愛映画を観返してみよう。
アナタもカラフルな錠剤を、顔を真上にして、首筋張って、息んで飲んでごらん!
コップに注いだ牛乳でもいいよ!
きっと真っ直ぐな気持ちに成れるから^_^

時代が変わり、当作品の"脚本設定が道徳的に不適切"とかなんとか…世間がどう批判対象を連ね様が、ワタシの評価感覚にゃ関係ないんだ。逆に、そんな世論や流行的な規範に対して自分の意見や感覚を否定し裏返す人は、元々アナタは何をものさしに感動していたのかな?って事だと思う。
んな事言い出したら、殺したり。犯したり、壊したり、裏切ったり… この世は不道徳な映画ばっかりじゃないか⁉︎って事だ。
不道徳な要素あっての映画にこそ、(道徳かどうかは知らないが)何か大切な事をワタシは教わって来て現在がある訳だから!

本作、少なくともワタシにとっては、己の"汚れ具合"を省みる…そんな尺度の大切な映画の一つかな。
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