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ダークナイトのaのレビュー・感想・評価

ダークナイト(2008年製作の映画)
5.0
暗黒の騎士、敗北

ダークナイト三部作の中でも一際、存在感を放つ作品。もちろん3つの作品で一つのストーリーという解釈が妥当だから、順位は決めたくないが、やはりこの「ダークナイト」は異端な雰囲気が漂っていてたくさんのファンがいるのも大いに分かる上質な二作目。

冒頭でも言った通り、これはバットマン、もっと言えばブルースウェインがJOKERに完全敗北する物語。バットマンの力強い正義もJOKERの悪を目の前にしては木っ端微塵に打ち砕かれる。JOKERの圧倒的カリスマ性、存在感、絶対的な闇、悪。
そんな狂気の塊のような役を演じたのは今は亡き男、ヒースレジャー。
彼は6週間、汚いホテルに引きこもり、精神病院に入った男になろうとしたため、完全なJOKERになるために壮絶と言える役作りを行った。亡くなった後にアカデミー賞助演男優賞を獲得。彼がいなければ、ここまでの大傑作は世に出ていなかった。一人の男が命を惜しまず挑んだ役作りには誰もが心動かされただろう。
彼が亡くなってから8年。未だにダークナイトファンの心にはヒースレジャーという男は生き続けている!
鑑賞終了後は「結局、正義って...?」と、こんなにも正義と悪を見せつけられ、正義が正しいと信じていたはずなのに、この根本的な考えが一瞬で壊され、見直す度にもどかしい余韻が頭を駆け巡る作品。

本当の悪は、正義を悪に変えてしまうこと。

何度見たって画面から滲み出る熱量にただただ圧倒される。監督、脚本を努めたノーラン兄弟、「インターステラー」でも嫌なくらい伝わってきたがやはり今作を見ると、何をどうしたって「天才兄弟」としか表現しようがない。

今作でバットマンはヒーローではなくなり、完全な”暗黒の騎士”になった。

152分、一瞬の隙も見せない究極の一作。
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